分析化学用語の中では、強熱減量(ig.loss)という言葉が多く使用されます。
当然のように使用されることもありますが、初めて聞く人は意味がわからないことも多いです。
意味を理解しておくと、日頃の業務で詳しく内容を理解できることから、知っておいて損はありません。
解説しますので、参考にして頂けると幸いです。
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強熱減量とは土壌や鉱物中に含まれる揮発性物質(主に有機物)の質量
強熱減量は、土壌や鉱物の中に含まれる揮発性物質(主に有機物)のことを言います。
試料を高温で加熱し、加熱前後の質量比を算出することで求める。
炭酸カルシウム(CaCO3)を高温加熱することでCaCO3→CaO+CO2となり、CO2が揮発します。
揮発減量により、CaCO3量を推定することができます。
上記のようなロジックで揮発性物質を測定することが可能です。
強熱減量はIgnition Loss = ig.loss(イグロス)
強熱減量は英語では、Ignition Loss=ig.lossと表記します。Ignitionは、「点火」という意味があります。
加熱して質量が低下する量を測定することで揮発性物質量を確認できます。
イグロスという言い方をしますので、覚えておくと良いでしょう。
強熱減量測定方法
電気マッフル炉などによって試料を加熱することで行なわれますが、加熱温度や加熱時間、酸素量によって強熱減量が変動します。
電気マッフル炉は、上記のような商品です。
土の強熱減量試験は、乾燥させた試料を700〜800℃で1時間加熱した値を強熱減量とする。
セメントは、900-1000℃程度で加熱することとしている。
強熱減量の活用方法
土壌の有機物量測定や、セメントの不純物混入量の測定、フライアッシュの不燃性汚染物質の混入量測定が可能です。
セメントは、強熱減量の上限が定められているものがあります。
混入量の測定はig.lossを測定することにより有機物がないはずのものに対して、どれだけ有機物が混入しているか、を確認することが可能です。
以上、参考になれば幸いです。