技術

【特殊ピトー管】原理、流速と風量計算を徹底解説

こんにちは。猫リーマンです。

本日はピトー管の原理、風量計算について解説したいと思います。

製造業では、ガス量を測定することが必要であることが多く、風量を計測する手法としてピトー管が用いられます。ピトー管とは何か、使い方、風量計算方法を以下に示します。

特殊ピトー管(ウェスタン形)とは

Image from Gyazo

ピトー管は、流速や風量を求めることができる重要な機器です。

廃ガスの流れる煙道にピトー管をさして測定します。ピトー管には、マノスターゲージをゴムチューブで繋ぐことで動圧を測定することができます。

ピトー管は持ち運び可能であるため、測定したい箇所を測ることが可能です。

価格は少し高額ではありますが、測定結果を用いて最適な運転調整をすることができます。よって、ピトー管を活用した測定は省エネにも繋がります。

参考までにピトー管の購入サイトを以下に示します。

ピトー管の原理と使い方

ベルヌーイの定理

ピトー管は、ベルヌーイの定理を利用しています。

ベルヌーイの定理とは、運動エネルギー、圧力エネルギー、位置エネルギーの総和が一定というものです。

煙道内では、位置エネルギーを無視することができます。

式で表すと以下の通りです。

1/2ρv2+p+p0 = 一定

ρ:密度

v:流速

p:静圧

p0:大気圧

1/2ρv2 は、動圧を示しています。

流体の流速vが大きくなると、動圧が大きくなります。一方で、総和は一定となることから、静圧pは小さくなります。

流体の流速が速いほど、圧力が小さくなるのはこのためです。

次にピトー管の原理は概略図を見るとわかりやすいのではないでしょうか。

全圧ー静圧=動圧

上式のように、動圧は全圧と静圧の差を表します。

ピトー管の測定で動圧を測定することができます。

ピトー管の使い方

動圧測定

上述した通り、ピトー管は二つに分かれていますが、全圧と静圧を測定する場所が決まっています。

ピトー管を見ると、T(全圧)やS(静圧)のマークがありますので確認して下さい。

廃ガスを受ける方にT(全圧)を向けるようにします。

マノスターゲージの値を読むと動圧を確認できます。

静圧測定

Image from Gyazo

ピトー管を反転させ、廃ガスを受けないようにします。

マノスターゲージにつなげるゴムチューブを片方外し、静圧の方のみに繋ぎます。

そのときのマノスターゲージの値が静圧です。

風量計算方法

①ダクト内のガス密度ρg[kg/m3]を求める

ガス温度や圧力によって、ガス密度は変化します。

よって測定したときのガス温度と圧力からガス密度ρg[kg/m3]を求めます。

標準状態では、ガス密度ρは1.30kg/m3です。

ρg[kg/m3]= 1.30× 273.15÷(273.15+T) × (P0+Ps)÷101.325

T:温度[℃]

P0:大気圧力[kPa]

Ps:静圧[kPa]

②流速v[m/s]を求める

測定した動圧と計算したρg[kg/m3]から、流速v[m/s]を求めます。

v[m/s] =C√(2Pd/ρg )

C:ピトー管係数

Pd:動圧[Pa]

③流速v[m/s]から風量Q[m3/min]にする

流速を計算すると、断面積があれば風量を求めることができます。

秒→分に単位換算していますので、60をかけます。

Q[m3/min] = v×60×断面積[m2]

④風量の単位をQ'[Nm3/min]に換算する

最後に忘れてはいけないのが、ノルマルリューべに変換することです。

換算式

Q[Nm3] = Q'[m3] × 273.15÷(273.15+T) × (101.325+P)÷101.325

T:温度[℃]

P:静圧[kPa]

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