
この記事で学べること
工場でボイラー・加熱炉・乾燥炉などを使っている担当者が、大気汚染防止法の規制をゼロから理解できるよう解説します。
- 大気汚染防止法でボイラーが規制対象になる条件
- ばい煙とVOCの違い
- 主な排出基準値(硫黄酸化物・窒素酸化物・ばいじん)
- 特定施設設置の届出手続き
- 測定・記録義務のポイント
大気汚染防止法でボイラーが規制対象になる条件
大気汚染防止法では、一定規模以上のばい煙発生施設を「特定施設」として指定し、設置届出と排出基準の遵守を義務付けています。ボイラーの場合、伝熱面積が10m²以上または燃焼能力が重油換算50L/h以上のものが特定施設に該当します。
| 施設種類 | 規制対象となる規模の目安 |
|---|---|
| ボイラー(蒸気・温水) | 伝熱面積 10m² 以上、または燃焼能力 重油換算 50L/h 以上 |
| 加熱炉・乾燥炉 | 火格子面積 1m² 以上、または燃焼能力 重油換算 50L/h 以上 |
| 廃棄物焼却炉 | 火格子面積 0.5m² 以上、または焼却能力 50kg/h 以上 |
| ガスタービン | 燃焼能力 重油換算 50L/h 以上 |
規制される「ばい煙」の3成分
大気汚染防止法でいう「ばい煙」は、以下の3種類の物質を指します。
- 硫黄酸化物(SOx):燃料中の硫黄分が燃焼して発生。重油など硫黄含有量の多い燃料ほど多く出る。規制値はK値方式(煙突の実効高さと地域によって決まる)。
- ばいじん:不完全燃焼や燃料中の灰分由来の粒子。単位はg/m³N。燃料の種類や燃焼管理で大きく変わる。
- 有害物質(窒素酸化物NOxなど):NOxは高温燃焼時に発生。規制値はppmで表示。
主な排出基準値(一般基準)
| 物質 | 施設種類 | 基準値の目安 | 単位 |
|---|---|---|---|
| ばいじん | 液体燃料燃焼ボイラー | 0.05〜0.3 | g/m³N |
| ばいじん | 固体燃料燃焼ボイラー | 0.05〜0.5 | g/m³N |
| 窒素酸化物(NOx) | ガスタービン | 70〜130 | ppm |
| 窒素酸化物(NOx) | ボイラー(液体燃料) | 180〜250 | ppm |
| 硫黄酸化物(SOx) | 全施設 | K値方式(煙突高・地域で算定) | m³N/h |
猫リーマン的ポイント:SOxの規制値はK値方式で計算するため、同じ施設でも煙突の高さを上げると排出可能量が増えます。煙突を改造する際はK値への影響も確認しましょう。
特定施設の設置届出手続き
- 設置60日前までに都道府県知事へ「ばい煙発生施設設置届出書」を提出
- 届出後、都道府県から変更命令が出ることがある(60日間は設置禁止期間)
- 施設の内容を変更する場合も同様に届出が必要
- 廃止する場合も30日以内に廃止届出が必要
測定・記録義務のポイント
- 測定頻度:ばいじんと有害物質は年2回以上(SOxは設備・燃料データから計算でも可)
- 記録保存:測定結果は3年間保存が義務
- 自主管理の重要性:燃料の切り替え(重油→LNG)でSOxを大幅に削減できる。コスト削減と規制対応を同時に達成できる。
まとめ
- ボイラーは伝熱面積10m²以上または燃焼能力重油換算50L/h以上で特定施設に該当
- 規制対象は「ばいじん」「SOx」「NOxなど有害物質」の3種類
- 特定施設の設置・変更は60日前までに届出が必要
- 測定記録は年2回以上、3年間保存が義務
- 燃料をLNGに切り替えるとSOx・ばいじんを大幅削減できる


