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排水基準とは?工場で最低限知っておくべき規制値と測定方法

この記事で学べること

工場で排水担当になった方、または公害防止管理者(水質)を目指す方に向けて、以下をわかりやすく解説します。

  • 排水基準の仕組み(法律の2層構造)
  • 一般基準と上乗せ基準の違い
  • 自分の工場が規制対象かどうかの判断方法
  • 有害物質と生活環境項目の違い
  • 主な規制値一覧と測定・記録の実務ポイント

排水規制は「2層構造」になっている

工場の排水規制は「水質汚濁防止法」を土台に、国の基準+都道府県の上乗せ基準という2層構造になっています。工場はこの両方を同時に満たす必要があります。

「うちの県は規制が緩いから大丈夫」という考えは危険です。都市部や工業地帯では上乗せ基準が一般基準よりも大幅に厳しく設定されていることが多いです。必ず自社の所在地の条例を確認してください。

法律の2層構造まとめ

基準の種類誰が定める?適用範囲
一般排水基準国(環境省令)全国すべての特定事業場
上乗せ基準都道府県(条例)その都道府県内の特定事業場

猫リーマン的ポイント:厳しい方の基準が自動的に適用されます。国の基準をクリアしていても、都道府県の条例でより厳しい値が設定されていれば、条例の値を守らなければなりません。

「特定事業場」に該当するか?3ステップで確認

排水規制の対象になるのは「特定事業場」だけです。以下の3つをすべて満たす場合に該当します。

  1. 排水を公共用水域(川・海・湖)または下水道に排出している
  2. 政令で定める「特定施設」を設置している(金属加工・めっき・食品・化学・繊維など約70業種)
  3. 特定施設から出る汚水・廃液が、排水と混合して外部に排出される

「特定施設」の一覧は水質汚濁防止法施行令の別表第一で確認できます。少しでも該当する可能性があれば、都道府県の環境担当部署に相談することをおすすめします。

有害物質と生活環境項目の違い

排水基準には2種類あり、適用条件がまったく異なります。この違いを理解していないと、「うちは小さい工場だから対象外」という誤解につながります。

有害物質:排水量に関係なく全員対象

カドミウム・六価クロム・鉛・水銀・ヒ素・シアンなど28物質が対象です。排水量が1m³/日であっても適用されます。違反した場合は改善命令を待たずに直ちに罰則の対象(直罰規定)になります。

生活環境項目:1日50m³以上の排水がある場合に適用

pH・BOD・COD・SS・油分などが対象です。1日平均50m³未満の排水量の工場には適用されません。ただし工場を拡張・増産して50m³を超えた瞬間から適用開始になるため、増産計画がある工場は事前確認が必要です。

主な排水基準の一覧(一般基準)

項目基準値主な発生工程種別
pH(水素イオン濃度)5.8〜8.6ほぼ全業種生活環境
BOD(生化学的酸素要求量)160 mg/L以下食品・有機系排水生活環境
COD(化学的酸素要求量)160 mg/L以下化学・塗装生活環境
SS(浮遊物質量)200 mg/L以下鋳造・切削生活環境
油分(鉱油類)5 mg/L以下機械加工・洗浄生活環境
六価クロム0.5 mg/L以下めっき・塗装有害物質
0.1 mg/L以下はんだ・蓄電池有害物質
カドミウム0.03 mg/L以下金属加工有害物質
総水銀0.005 mg/L以下化学・計測器有害物質

猫リーマン的ポイント:pH管理は最も基本的かつ見落としやすい項目です。中性付近に見えても朝・昼・夜で変動することがあるため、連続モニタリングが理想的です。

測定・記録の実務ポイント

排水基準を守るだけでなく、「測定して記録する」義務もあります。記録の保存ルールを知らないまま廃棄してしまう工場が実際にあります。担当になったら、まず過去3年分の測定記録が揃っているか確認しましょう。

  • 測定頻度:有害物質は年2回以上(条例でさらに厳しい場合あり)
  • 記録保存:測定結果は3年間保存が義務
  • 測定方法:自己測定・委託測定どちらでも可。信頼性の確保が重要。
  • 測定者:有害物質は計量証明書を持つ機関への外部委託を推奨

まとめ

  • 排水基準は「水質汚濁防止法(国)+都道府県上乗せ基準」の2層構造で、厳しい方が適用される
  • 特定事業場に該当するかは3ステップで確認できる
  • 有害物質は排水量に関係なく全員対象。小さい工場でも油断禁物。
  • 生活環境項目は1日50m³以上の排水がある工場に適用
  • 測定結果は3年間保存が義務。記録の抜けがないか今すぐ確認を。
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